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「食事制限なしの生活はできますか?」――専門医や栄養士に質問できる栄養学級を実施しています。

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当院では、患者様一人ひとりが安心してご自身らしい生活を送れるよう、経験豊富なスタッフによる糖尿病栄養学級を実施しています。

毎月上旬の月曜日(1月と8月以外)午後に2時間ほど実施。食事療法や運動療法、合併症予防などの幅広い内容を提供しています。今回のブログでは栄養学級の一部をご紹介します。

船山秀昭 理事長の講義をお聞き頂けます。

糖尿病栄養学級の特徴:総合的なアプローチで糖尿病ケアを支援します

当院の栄養学級は、食事療法だけにとどまらない、患者一人ひとりの生活に合わせた総合的なアプローチが特徴です。

講義は、理事長の船山が糖尿病の基礎知識をわかりやすく解説するところから始まります。次に、経験豊富な栄養士と看護師が、食事療法や日常生活での実践的なアドバイスをお届けします。また、運動療法のコツや合併症予防についても、専門家が丁寧に説明し、幅広い知識を提供します。

糖尿病のスティグマを解消するために

糖尿病には「自己責任」という偏見がつきまとうことがあります。しかし、これまでの研究で明らかになっていることは、特に2型糖尿病において遺伝的要因が大きな役割を果たしていることが分かっています。このような誤解から生じる偏見や差別を「スティグマ」と言います。スティグマは患者に精神的負担や孤立感をもたらし、社会生活や職場での困難を生じさせる場合があります。

当院では、このようなスティグマを解消するため、患者を支えるアドボカシー活動を推進しています。科学的根拠に基づき、薬物療法、食事療法、運動療法を組み合わせた適切な治療方法をご提案し、患者の生活の質向上に努めています。

合併症予防への取り組み

糖尿病の適切な管理は、合併症の発症や進行リスクを抑えるために重要です。合併症には、脳梗塞、心筋梗塞、神経障害、網膜症、腎症などが含まれます。当院では、これらのリスクを軽減するため、定期的な検査の必要性や、予防法などについても詳しく解説しています。

内容紹介|最新の知見に基づく実践的な知識

当院の栄養学級では、糖尿病管理における実践的な知識を提供しています。以下は、栄養学級の内容の一部をご紹介します。

糖尿病と食事摂取のバランス

糖尿病で来院される方の中には、特に夕食やよるの時間帯に摂取エネルギーが過剰になりがちな若年層から壮年層の方が多く見られます。そのため、「食事制限は必要ですか?」といった質問をよくいただきます。

糖尿病の食事療法は、個々の体型や食事摂取状況に応じて調整されます。特に、肥満の方に対しては、エネルギー摂取量の制限が推奨されます。これは、過剰な摂取を避け、バランスの取れた健康的な食習慣を確立することで、減量と血糖コントロールの改善を目指すものです。

一方、痩せている方や高齢者、またはエネルギー摂取が適正な場合には、過度なエネルギー制限は必要ない可能性があります。これらの方々に対する食事療法では、必要な栄養素を十分に摂取し、健康維持と血糖コントロールを図ることが重要です。特に高齢者では、栄養不足による筋力低下などを防ぐため、適切なエネルギーと栄養素の摂取が求められます。

糖尿病の食事療法は、個々の体型、年齢、活動量、食事摂取状況に応じて、エネルギー摂取量や栄養バランスを適切に調整することが重要です。医師や管理栄養士と相談しながら、最適な食事プランを策定・実践することが推奨されます。

食事療法における基本的な考え方

当院の栄養学級では、糖尿病管理において、全ての患者に共通する基本的なポイントとして、適切なエネルギー摂取量の確保を重視しています。1日の摂取エネルギーは、炭水化物50〜60%、タンパク質20%、脂質20〜30%の割合でバランスよく摂取することが推奨されます。また、朝食・昼食・夕食を規則正しく摂取し、エネルギー量を可能な限り三等分することで血糖値を安定させることを目指しています。

さらに、間食や清涼飲料水、アルコールの摂取を控えることは血糖コントロールの改善に有効であり、患者の生活リズムに合わせた現実的なアドバイスを提供しています。長年の生活習慣を変えることは容易ではありませんが、無理なく取り組める方法を一緒に考えていきます。

脂質異常症や高血圧合併の状況に応じて、食物繊維の摂取や塩分制限を推奨することもあります。

管理栄養士からは、食事療法で取り組むことが望ましい実践的なコツ、アドバイスをご案内しています。調理の工夫や食べる順番、外食の上手な取り方など幅広く扱っています。

運動療法と合併症予防

船山理事長みずから、運動療法と合併症予防について説明しています。

現代人の運動不足の背景と身体活動の変化

  • かつて、タクシーや鉄道といった交通手段が普及していなかった時代、人々の生活は自然と身体活動を伴うものでした。移動や仕事、日常生活の多くの場面で体を動かすことが必要不可欠だったのです。
  • しかし、技術革新や交通手段の発達により、現代の生活は便利になる一方で、身体を動かす機会が大きく減少しました。これにより、運動不足が広がり、健康に対する影響が懸念されています。

最初に知っておきたい運動の種類

運動にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる健康効果をもたらします。糖尿病管理を含め、健康を維持するためには目的に応じた運動を取り入れることが重要です。

  • 有酸素運動:ウォーキングやジョギングといった有酸素運動は、心血管の健康を維持するために有効で、継続的に行うことで消費エネルギーが増加します。糖尿病への効果として、インスリンの感受性を向上させ、血糖値コントロールの改善が期待されます。
  • レジスタンストレーニング:スクワットや腕立て伏せなど、いわゆる筋力トレーニングは、筋力や筋肉量を増加させることが主な目的です。これにより、骨格筋量が増え、基礎代謝量の向上に寄与します。また、バランス感覚の向上や転倒予防にも役立つことがデータで示されています。特に注目されているのが、糖尿病と筋肉量低下(サルコペニア)の関連です。加齢とともに筋肉量や身体機能が低下すると、健康リスクが増大します。そのため、糖尿病の有無にかかわらず、幅広い年代の方にレジスタンストレーニングを取り入れることをお勧めします。
  • 有酸素運動とレジスタンストレーニングの要素を兼ね備えた運動も効果的です。例えば、水中ウォーキングは、体への負担を軽減しながら心血管の健康維持や筋力向上を同時に目指すことができます。

ウォーキングの効果

  • 定期的なウォーキングには、認知機能の低下や認知症リスクの軽減が期待されるという研究結果があります。また、ウォーキングの頻度が高いほど、認知機能が良好であるとの関連性も報告されています。これにより、ウォーキングが心身の健康維持に重要な役割を果たすことが示唆されています。
  • さらに、ウォーキングは血糖値の管理にも効果的です。特に、食後15〜30分以内に散歩などの運動を行うことで、血糖値の低下に効果があるとされています。このタイミングでの運動は、食事による食後血糖値の増加を抑えるのに有効とされています。
  • 日常生活の中で余暇時間を活用して運動時間を確保し、継続的にウォーキングを行うことが、健康管理の鍵となります。

運動の強度と頻度

  • 運動は、糖尿病管理において重要な役割を果たします。特に、週150分以上の有酸素運動は、それ未満の運動と比べてHbA1c(ヘモグロビンA1c)を低下させる効果が大きいとされています。
  • 運動の方法については、連続して30分間運動するだけでなく、10分間の運動を3回に分けて実施した場合でも、血糖値を下げる効果が同等となる場合があります。忙しい方でも、このように分割して運動することで効果を得ることが期待されます。
  • また、これまでの研究では万歩計を使用するだけではHbA1cの低下効果は十分に得られにくいことが示されています。しかし、具体的な指導を伴う場合には、運動の効果がより顕著に現れることが確認されています。
  • 10週間にわたる研究(詳細はこちら https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5774965/)によると、1日10000歩を目標とした歩数増加を身体活動の指導を受けた介入群では、対照群に比べて最後の4週間で1日の歩数が平均2,913歩増加しました。その結果、介入群では、対照群と比較してのHbA1c が 0.74%相当低下するという成果が報告されています。
  • 参考までに、糖尿病の経口薬治療による平均的なHbA1c低下度は約0.7%程度と報告されています。これに基づくと、上記の運動効果は薬剤1種類の効果と同程度に相当する可能性があります。
  • 運動は、糖尿病管理において薬物療法に匹敵するほどの効果をもたらす可能性があるため、生活習慣の一部として取り入れることが推奨されます。当院では、ご自身の生活スタイルに合った運動方法を提案していますので、ぜひご相談ください。

薬の使用と糖尿病管理への影響

  • 糖尿病治療では、患者一人ひとりの健康状態に応じた最適な薬剤選択が重要です。当院では、最新の医療知識と豊富な臨床経験を基に、患者の個別ニーズに合わせた治療を提供しています。糖尿病は患者ごとに病状や進行具合が異なるため、画一的な治療では十分な効果を得られないことがあります。そのため、患者の年齢、ライフスタイル、併存疾患、治療歴などを総合的に評価し、最適な薬剤を選定しています。

最新医療への対応

  • 当院では、最新の治療ガイドラインやアルゴリズムを参考にするだけでなく、論文や報告を日頃から大量に読み込んでいるため、将来ガイドラインに記載されるような標準治療を予測して診療に取り入れています。ガイドラインが広く普及され標準化されるまでには数年を要するため、極論すれば当院では一般的な医療機関よりも5~10年先を見据えた治療・診察を提供することが可能です。
  • また、これまでに糖尿病の病態を解明する研究に携わり、日本糖尿病学会の専門医および臨床研修指導医の資格を有する医師が、患者一人ひとりの病態にフィットした治療を提案します。これにより、ガイドラインにとどまらない、より最適で効果的な治療が可能となります。

新薬の導入と患者との連携

  • 当院では、従来から使い慣れた薬剤の処方のみならず、市販後調査で培った知識と経験を活かし、新薬が登場した際にはその効果や副作用、適応性を慎重に検討した上で導入しています。薬剤選択の過程では、患者とのコミュニケーションを重視しています。専門医が患者の希望や不安を丁寧に伺い、薬剤の効果や副作用について分かりやすく説明することで、納得の上で治療を進められるようサポートしています。
  • さらに、医師だけでなく、栄養士や看護師などの多職種が連携し、食事療法や運動療法を含めた包括的な治療を提供しています。このアプローチにより、患者にとって最も効果的な治療を実現します。

治療目標と減薬の可能性

  • 糖尿病や動脈硬化性疾患の治療には、それぞれ明確な目標値が設定されています。食事療法や身体活動の増加により治療が奏功し、目標値に到達している場合、糖尿病、高血圧、脂質異常症の薬剤について減薬を検討することが可能です。
  • ただし、近年では動脈硬化性疾患の進行予防に特化した薬剤が、標準的な医療として広く用いられるようになっています。これらの薬剤は、たとえ病状が安定していても予防的な役割を果たしているため、安定しているだけでは減薬の対象とならない場合が多々あることに注意が必要です。
  • 一方で、治療目標に到達が難しい場合には、生活習慣の改善指導をさらに徹底するとともに、必要に応じて薬剤の調整や増量を提案します。当院では、患者一人ひとりの状況を丁寧に把握し、最適な治療方針を提案しながら、健康を全力でサポートします。

多剤服用の課題と対応

  • 糖尿病のある人は併存疾患を合併しやすいことからも多剤服用となる方もいます。一部の方にとっては多剤投与による弊害が問題となる方もこともあります。糖尿病に対しての食事療法、運動療法、薬物療法の治療実施状況やコントロール状況のみならず、その他疾患の治療状況や治療優先度を考慮して、必要に応じて服薬錠数を減らすことが検討できる場合があります。
  • 糖尿病治療についてのお悩みがあれば、ぜひ当院にご相談ください。最適な治療をお届けします。

痛みや可動性の問題に対する運動の適応

  • 膝や腰に痛みがある方にとっては、無理をせずに実施できる運動が重要です。例えば、自宅で行うレジスタンストレーニングやストレッチが、ウォーキングの代わりとして有効な場合があります。

  • また、最近では運動をすることに加え、不活動時間を減らすことが健康管理において注目されています。運動を行っていても、不活動時間が長いと死亡リスクが増加しやすいという研究結果があります。そのため、テレビを見ながらスクワットをするなど、日常生活の中で取り入れやすい簡単な運動が推奨されます。これにより、不活動時間を減らすだけでなく、筋肉量を維持し、筋萎縮を防ぐ効果も期待できます。さらに、血糖コントロールの観点からも、不活動時間を減らすことの有用性が明らかになっています。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27208318/十分な運動ができない場合でも、小さな工夫を積み重ねることで糖尿病管理の改善が可能です。当院では、個々の状況に合わせた運動方法を提案し、糖尿病のコントロールを支援いたします。

糖尿病の血管合併症の理解

  • 糖尿病は、細小血管(小さい血管)および大血管(大きい血管)の合併症を引き起こす可能性があります。
  • 細小血管合併症:細小血管が損傷を受けることで、以下のような症状や疾患が発生することがあります。
    • 網膜症(目):視力の低下や失明のリスクが増加します。
    • 腎症(腎臓):腎機能の低下や最終的な腎不全につながることがあります。
    • 神経障害:手足のしびれや痛み、感覚の異常を引き起こすことがあります。自律神経障害では便秘・下痢などを合併することがあります。
  • 大血管合併症:大血管への影響は、以下のような重篤な疾患に関与します。
    • 脳卒中:脳の血流障害による神経細胞の損傷を引き起こすことがあります。
    • 心臓病:冠動脈疾患などのリスクが増加します。
    • 下肢血管障害:動脈硬化による血流障害が原因で、足の壊疽や潰瘍を引き起こすことがあります。
  • 糖尿病の初期段階での合併症は無症状であることが多いです。そのため、網膜症や腎症に関する定期的な検査が、推奨されます。

糖尿病腎症の理解

  • 糖尿病腎症は、糖尿病の合併症のひとつで、腎臓の機能が徐々に低下していく進行性の疾患です。その進行は以下の5つの段階(ステージ)に分けられます。第1期(腎症前期)では腎機能と微量アルブミン尿はともに正常です。第2期(早期腎症期)では尿中アルブミンの量が増加しますが、この段階では症状が現れないため、検査での早期発見が重要です。生活習慣の見直しや治療の強化が効果的です。第3期(顕性腎症期)になるとアルブミン尿やタンパク尿が明確に検出されるようになり、腎機能が徐々に低下します。第4期(腎不全期)では腎機能が大幅に低下し、血液中の老廃物が排泄されにくくなり、透析治療を検討する段階に入ります。第5期(末期腎不全期)では腎機能が著しく低下し、透析や腎移植が必要となります。
  • 進行した糖尿病腎症は腎機能低下のみならず、先に述べた脳卒中、心臓病の合併や死亡率が高率であることも留意する必要があります。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15037495/
  • 糖尿病腎症の進行を防ぐためには、尿タンパク検査や微量アルブミン尿検査、採血検査による定期的なモニタリングが不可欠です。これにより、早期に腎機能の低下を発見し、適切な治療を開始することが可能です。
  • 糖尿病腎症や慢性腎臓病に対しての適切な対応を怠ると、最終的に透析治療が必要になる場合があります。しかし、生活習慣の改善(食事管理、塩分制限、適度な運動など)や腎臓病専門医との病診連携を通じて予防や進行抑制が可能です。https://academic.oup.com/ndt/article/38/1/158/6534934

神経障害と血管の検査

  • 当院では、下肢振動覚の測定、アキレス腱反射の検査、頸動脈超音波検査、ABI(足関節/上腕血圧比)検査など、簡便で非侵襲的な検査を用いて神経障害および血管の健康状態を評価しています。これらの検査は痛みを伴わず、患者に安心して受けていただけます。
  • 特に、動脈の狭窄を早期に発見することで、脳卒中、心臓発作、下肢動脈閉塞症などの深刻な合併症を未然に防ぐことが可能です。定期的なチェックにより、これらのリスクを効果的に管理できます。
  • 検査結果に基づき、必要に応じて専門的な精査や治療が必要な場合は、大病院や専門施設への迅速な紹介を行います。患者の健康を守るために、当院では丁寧なサポートと最適な診療を心がけています。

お気軽にご参加ください

糖尿病の治療は、適切な知識と支援を得ることで、改善や合併症の進行予防が期待できます。当院では、患者が安心して治療に取り組めるよう、医師、栄養士、看護師が一丸となり、多角的なサポートを提供しています。

最新の医学知識と長年の臨床経験を活かし、生活スタイルに合わせた食事療法や運動療法の実践的なアドバイスを行っています。

糖尿病治療についてのご相談やサポートが必要な方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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糖尿病栄養教室の概要と受診のご案内
https://funayama.or.jp/visit/

栄養教室の講師をする当院医師のご紹介
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糖尿病診療ガイドライン2024

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