糖尿病の初診WEB予約はこちら

『門前仲町駅』出口すぐ
東京都江東区富岡1-13-14 リブリ・ヴィラクリヤマⅡ 1階

03-3630-1056

Twitter

0336301056

 

「効果が出る」運動療法の必須知識|糖尿病治療と予防の基本

こんにちは、船山内科の船山です。突然ですが、皆さん運動はお好きですか?

糖尿病と診断されたり、血糖値に異常があると「日々の生活に運動を取り入れましょう」と言われます。運動療法は栄養療法・薬物療法と並んで糖尿病の三大療法のひとつで、血糖値の管理(血糖コントロール)だけでなく健康状態全体のため非常に重要です。

とはいえ運動が好きならよいですが、苦手な方にとってはなかなか辛いものがあります。

今日は、苦手な方にも「効果が出る」「最低限」の運動療法の基本をお伝えします。本テーマで2回に分け、今回は必須知識をご紹介します。後半記事では具体的な方法や続けられるコツまでご紹介できたらと思っています。

【概要】
運動療法に関してよくある質問
運動療法の目的は「生活の質」をあげること
  ライフスタイルの改善で糖尿病予防に?
運動療法の効果
  身体活動(生活での活動、座ってする活動、運動)をイメージしよう
運動の種類別の効果とエビデンス
  「有酸素運動の効果」とエビデンス
  「レジスタンス運動の効果」とエビデンス
  「バランスと柔軟性のトレーニング効果」とエビデンス

※ 後半記事「実践編」の概要
運動の実践方法
ポイント1 運動療法開始前
ポイント2 継続すること
制限や注意が必要な状況
高齢者の注意点
高齢者の運動療法のメリット

運動療法に関してよくある質問

運動療法について、よく下記のような質問を患者さんからいただきます。この記事を読むとこうした内容がわかるようになるといいなと思って解説していきます。

  • どのくらい運動するとHbA1cは改善しますか?
  • 筋トレと有酸素運動 どちらをするといいですか?
  • 運動するのと日常生活での効果の違いはありますか?
  • 1万歩くらい歩けばいいですか?
  • 運動療法をしても大丈夫ですか?
  • 運動療法をしていけない場合はありますか?
  • 薬で注意することはありますか?

運動療法の目的は?

運動療法は、糖尿病や予備軍の方々にとって非常に有効とされています。運動療法の目的についてお話しします。

血糖コントロールの改善はもちろんありますが、それ以外にも心血管疾患のリスク低減、体重管理、ストレス軽減などに有用な可能性があります。

ライフスタイルの改善で糖尿病予防に?

ライフスタイルの改善を通じて糖尿病の発症を抑制することが可能であるという研究結果も紹介します。

糖尿病のリスクが高い人や糖尿病を発症していない人については、身体活動量と糖尿病発症リスクとの関連性を考慮することが重要です。

テレビ視聴時間が長いことや、食事や運動習慣の是正を中心とした生活習慣介入が糖尿病の発症を遅延させることが示されています。

糖尿病をまだ発症していない耐糖能異常の方を対象にした研究では、生活習慣の取り組み(運動実施・食事カロリー制限・体重減量)により、糖尿病の発症率が低下したという報告があります。

糖尿病の予防や治療は、患者さん自身による日常的なケアが必要となります。そのため、お一人お一人の生活に合わせた運動の取り組みがとても大切です。

誰にとっても習慣を変えることは容易ではありません。一度の受診だけではうまくいくことは稀であり、何度かお伝えすることで運動が実施できるようになることが多いですので、一緒に生活上取り組める運動を考えていきましょう。

これまでの研究された文献を参考にすると、運動の実施頻度ではなく、ライフスタイルカウンセリングの頻度・回数と心血管イベント・死亡の発生率に関して調べた研究では、心血管イベントや死亡の発生に影響を及ぼすことが明らかとなっています。研究の初めの2年間に月に1回以上のライフスタイルカウンセリングを受けた人では、それ以下の頻度であった人と比較して、ヘモグロビンA1cが減少するのみではなく、その後の期間での心血管イベント・死亡の発生率を低下させていたという報告があります。

この研究結果を踏まえるとは、運動や食事などの生活習慣についてアドバイスを受けている頻度が月1回以上であれば、糖尿病のコントロールのみならず、死亡や血管の病気などにも影響している可能性があるため、通院する医療機関を選ぶ際には、毎月の生活習慣や生活上の取り組みやアドバイスをうけられる医療機関を選ぶことが重要であると考えられます。

運動療法の効果

運動療法のおすすめは、主に有酸素運動とレジスタンス運動(筋トレなど)です。それぞれ単独でも効果がありますが、これらを組み合わせることで血糖値の改善はもちろん、健康全般に好影響をもたらします。

表 2型糖尿病・糖代謝異常における運動・身体活動の影響

有酸素運動やレジスタンス運動あるいは その組み合わせによる運動療法は血糖コントロールや心血管疾患のリスクファクターを改善させる.
有酸素運動とレジスタンス運動は単独でも血糖コントロールに有効で、併用によりさらに効果が高まる.
30分に一度運動を実施すると座位を継続した時よりも食後血糖が改善する.
                         日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2019

ライフスタイルの改善や適切な食事療法とレジスタンス運動が身体機能を改善し、健康寿命を延ばすことが報告されています。しかし、体重減少に伴って骨密度が低下し、脆弱性骨折が増加したことも報告されています。このため、高齢者における運動療法では

レジスタンストレーニングは重要とされています。

身体活動(生活での活動、座ってする活動、運動)をイメージしよう

厚生労働省資料より引用(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf)

生活習慣を改善するにあたって、まず運動を含めた身体活動の3分類がイメージできるとよいでしょう。以前は運動に関する研究が主流でしたが、最近では生活活動や座っているときの活動、つまり安静行動に関する研究も進んでいます。運動することも大事ですが、いかにじっとしている時間を減らせるかも随時血糖値や死亡への影響を考えると重要となってきました。

運動の種類別の効果とエビデンス

運動療法は大きく有酸素運動、レジスタンストレーニング、柔軟性及びバランストレーニングに分けることができます。

運動療法をはじめるには、まず身体や合併症を把握した上で、適切な計画を立てることが重要です。特に、下記のような方は個別の検討が必要です。少しでも気になることがあれば気軽に当院にご相談くださいね。

  • 高血圧や心疾患などのリスクが高いかた
  • 普段と異なる強度の運動を始めるかた

有酸素運動の効果」とエビデンス

有酸素運動とは、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、比較的長時間持続する運動のことを指します。心臓の働きを強化し、血液の循環を促進することで、体内のインスリン感受性を高め、結果として血糖値を下げる効果があります。血糖コントロールの改善だけでなく、心臓病や脳卒中のリスクを減らす効果もあります。

有酸素運動の効果は、運動の介入期間、強度、頻度、種類により異なります。糖尿病患者に対する8種類以上の運動療法について14のトライアルをメタ解析した結果、週あたり平均18回、1回あたり約53分、週あたり150分程度の運動を行うことでヘモグロビンA1cが-0.66%改善することが示されました。

以上より、有酸素運動は2型糖尿病の予防・治療では優先的に取り組む運動とされています。

従来は持続的に実施することが望ましいとされていましたが、最近では間欠的な高強度運動、いわゆるインターバルトレーニングによって、体力レベルの指標である「最大酸素摂取量」が向上したという報告や代謝を改善するという報告もあります。

レジスタンス運動の効果」とエビデンス

一方、レジスタンス運動は筋肉を鍛える運動で、フリーウェイトやマシンを用いたトレーニングが代表的です。筋肉は私たちの体内で最も多くの糖を消費する器官の一つです。筋肉量が増えれば増えるほど、安静時の代謝も上がり、余分な糖を効率良く消費できるようになります。

特に40代以降は加齢による筋肉量の減少が始まる時期です。積極的に筋トレを取り入れることが、糖尿病予防だけでなく、健康維持のためにも重要です。

最近の研究で糖代謝に関してもレジスタンス運動の有用性が明らかになっています。自宅で実施するような自重運動よりもジムでマシンやフリーウェイト運動を実施した方がヘモグロビンA1Cの改善度が高いという報告があります。

バランスと柔軟性のトレーニング効果」とエビデンス

このトレーニングはヨガやピラティス、ストレッチなどが該当します。これらの活動は、転倒予防、関節の柔軟性向上、ストレス軽減に効果的です。

バランストレーニングや柔軟性運動には、ストレッチ、対極権、ヨガなどが該当します。ストレッチでは関節の稼働域の増加が期待されます。太極拳やヨガなどのアクティビティは柔軟性、バランス及びレジスタンストレーニングのアクティビティを組み合わせたものになります。

バランストレーニングにより高齢者での転倒予防が有用であったという報告があり、柔軟性トレーニングとバランストレーニングを週に2-3回行うことが推奨されています。

まとめ

血糖値が高いと言われたり糖尿病と診断されたときの運動療法について、基本となる知識をまとめました。次回の記事では実践編として、実際に生活の中で運動を行っていくポイントを解説します。

アーカイブ